文化構想学部 現代人間論系「心身を生きる人間」論ゼミ (心身論)

「心身を生きる人間」論ゼミ (心身論) とは

ゼミの概要

現代においては、SNSによるコミュニケーションやAIなどの科学技術が発達し、私たちを取り巻く人間関係や社会との関わり方は、急速に大きな変容を遂げています。またその一方で、精神疾患、医療、幸福感などをめぐる心の問題も多様化、複雑化しています。このような時代の中で、私たち人間の心と身体の関係や望ましいあり方は、どのように捉えられるべきでしょうか。


私たちのゼミでは、心理学を中心とする心を探求する科学を学び、人間の心身のさまざまなあり方について研究しています。またそれらと並行して、主に東洋のさまざまな身体的実践や思想も参照し、統合的で調和した「心身一如 (=心と身体の一体不可分のあり方)」の人間理解について考察しています。

心身論ゼミのスキーマ

ゼミで扱う分野とテーマ

身体心理学、ソマティック心理学、東洋的心身論などの分野が中核ですが、臨床心理学、認知心理学、脳神経科学、心身医学、哲学などを包括する学際的領域で、「心と身体」に関連するテーマを幅広く扱っています。私たち自身の心身や健康に関わる諸問題から、哲学的な人間の問題まで、多様な内容がそこに含まれます。


これらの分野に予備知識がなくても、自分自身の生活体験や他者、社会との関わりを含めて、現代を生きる人間の心や身体の多様なあり方に興味があれば、ゼミ生自身の関心を手掛かりに学びを進め、興味を拡げていけるように設計しています。


ゼミ活動で行っていること

文化構想学部では、2年次で論系、3年次でゼミに所属する (または卒業研究) ため、ゼミは3, 4年次の2年間です。当ゼミでは、以下の3つを軸として、4年間の総仕上げとしてのゼミ論文を4年次で完成させることを目標に活動を行っています。より詳細は、各年度のページやゼミ要項もご参照ください。

最終発表会の様子

【1】心理学の基礎を学ぶ

自然科学としての心理学を研究するには、基礎となる知識と技術の習得が必要です。当ゼミでは、(1) 身体心理学、ソマティック心理学に加え、臨床心理学、認知心理学、生理心理学などの関連分野の基礎的知識の学習、(2) データ統計解析の理論と、問題演習による実践、(3) 科学論文・レポートの読み書きと添削、などをゼミ活動に組み込んで行っています。


【2】心理学の研究を経験する

心理学の実際の研究を、立案、データ収集、分析、論文執筆を含めて一通り体験します。3年次ではグループ研究として、年度によって質問紙調査や自律神経計測などの実験を行い、グループ論文にまとめてもらっています。4年次では、各自のテーマでゼミ論文に取り組みます。学生の関心や研究内容によって、データ取得をしない論考論文も認めています。


【3】身体的実践を体験する

座学と並行して、さまざまな東洋的実践やソマティックス (ボディワーク; 身体技法) を体験する機会を提供しています。マインドフルネスと瞑想、武道、伝統的ヨガ、笑いヨガなどの実習を、外部招聘講師の先生をお招きするなどして、ゼミ内で定期的に実施しています。これらは事前経験などに関係なく、誰でも安全に参加できる内容にしています。


参考文献

授業で教材にしているものも含め、主な文献だけ挙げておきます。自習できるものも多いので、ご参考に。他にも多数あります。

教員の棚から

身体心理学・ソマティック心理学・東洋的心身論

・ 春木 豊 (2011). 動きが心をつくる──身体心理学への招待── 講談社
・ 春木 豊・山口 創編 (2016). 身体心理学──身体行動 (姿勢・表情など) からの心へのパラダイム── 川島書店
・ 久保 隆司 (2011). ソマティック心理学 春秋社
・ 久保 隆司・日本ソマティック心理学協会編 (2015). ソマティック心理学への招待──身体と心のリベラルアーツを求めて── 星雲社
・ 湯浅 泰雄 (1990). 身体論──東洋的心身論と現代── 講談社

・ 湯浅 泰雄 (1986). 気・修行・身体 平河出版社

・ J. カバット-ジン (2007). マインドフルネスストレス低減法 北大路書房
・ Z. V. シーガル他 (2007). マインドフルネス認知療法──うつを予防する新しいアプローチ── 北大路書房
・ E. ヘリゲル (1981). 弓と禅 (稲富 栄次郎・上田 武訳) 福村出版
・ 西田 幾多郎 (1923). 善の研究 岩波書店

・ 鈴木 大拙 (2008). 日本的霊性 中央公論新社
・ 鈴木 大拙 (1997). 新編 東洋的な見方 (上田 閑照編) 岩波書店


心理学基礎・心理統計

・ 板口 典弘・相馬 花恵 (2017). ステップアップ心理学シリーズ 心理学入門 講談社
・ 板口 典弘・山本 健太郎(2017). ステップアップ心理学シリーズ 心理学レポート・論文の書き方 講談社
・ 板口 典弘・森 数馬 (2017). ステップアップ心理学シリーズ 心理学統計入門 講談社
・ 小宮 あすか・布井 雅人 (2018). Excelで今すぐはじめる心理統計──簡単ツールHADで基本を身につける── 講談社
・ 石村 貞夫・石村 光資郎 (2013). SPSS による統計処理の手順 東京図書
・ 石村 貞夫・石村 光資郎 (2015). SPSS による分散分析と多重比較の手順 東京図書

ゼミの見学・お問い合わせなど

現代人間論系2年生の方を対象に、秋学期の始めごろにオープンゼミを行っています。また、オブザーバなどの形で参加される方や、見学される方もいます。ご質問等は随時受け付けていますので、時期に余裕を持って宮田までご連絡ください。


・ メールアドレス:miyata<at-mark>waseda.jp(<at-mark>を@に置き換えてください)